英語民間試験導入が延期!大学入学共通テストの浮かび上がる問題とは?

英語民間試験導入が延期!大学入学共通テストの浮かび上がる問題とは?

教育の均等化が叫ばれますが、現状において教育は均等でありながら一定以上の経済力を持った人間を選別する道具、あるいは政治的な道具となり果てました。

特に教育を提供するモノと政治との癒着は酷く、引きはがすことは困難を極めます。

しかし現状を打破する可能性がいま目の前にあります。それは改革を目前として浮上した「大学入試改革」周りの諸問題。

今回は、11月1日発表の英語民間試験利用の延期や問題について、当事者だった者の目線で考察してみたいと思います。

民間試験利用の概略

受験の様子

2020年度に導入される運びとなった「大学入学共通テスト」の中で、特に問題となった英語入試。11月1日の発表で、民間試験の実施が延期となりましたがそもそもどういう運びで延期という決断が下されたのか、今一度振り返ってみましょう。

教育過渡期の第一歩

従来の大学入試センター試験に変わり、知識の活用や判断力を図るための「大学入試共通テスト」が導入されることが決定となったことは記憶に新しいでしょう。

この受験改革は、従来の試験では出来なかった国語・数学の記述、英語の「読む・聞く・話す・書く」四技能を評価するために行われます。

国語や数学は、従来のマークシート形式の出題に加えて記述式の問題を数問追加するという運びになりました。

しかし英語はそうやすやすと問題の追加はできない四技能であるために、民間検定試験を利用する、という方法が選ばれたということはよくご存知だと思います。

受験に利用できる民間試験の種類

この入試では民間試験は6つの事業者の提供している英語技能検定を利用する事が決まりました。はじめはTOEICも選択肢としてありましたが、撤退することが決定したため受験生に残された選択肢は「ケンブリッジ英検」「TOEFL」「TOEIC」「TEAP」「英語技能検定」「IELTS」の6つの試験となりました。

因みに、大学入試共通テストでマークシート形式の試験を選ぶか、民間試験を利用するかは各大学の判断に委ねられています。

民間試験導入で浮上する問題

民間試験の利用が決まっていくつかの問題が浮上しましたが、特に大きな問題として挙げられるのは非均等性でしょう。

民間検定試験 検定受験料 実施都道府県数
ケンブリッジ英検 9720~25380 10
IELTS 25380 16
TEAP 15000 10
TOEFL 235ドル 10
GTEC 6700~9900 47
英検 5800~16500 47

表を見ると分かるように、開催地がひどく限られた試験がほとんどです。そのうえ受験料も高額です。

なお、TOEFLの235ドルは11月1日の段階では1ドルあたり108.2円でしたので25,427円程度ということになります。日による変動が多少あるようです。

経済的余裕もあり、東京や大阪といった所謂都会に住む生徒はケンブリッジ英検に始まるすべての試験をそれぞれ2回受ける機会があり、練習のための試験も何度か受けられます。

経済的に余裕がない、そのうえ地方在住の生徒が受験できる試験はGTECか英検のみで、2回とも受験することは難しいでしょう。

ひとえに地方と言っても、特に離島や過疎地域と定義される地域に住むならば、受験料に加えて宿泊代金・移動費がかかります

もし志望校が民間試験の利用を決めているとして、地方在住で1度しか受けられない試験を落としてしまったら。考えたくもない話ですが、一般入試に回るしかないでしょう。

しかし一般入試は高額な受験料を請求されるもの。就職する、という選択肢しか与えられない生徒が確実にうまれることが予想されます。

延期決定と素直に喜べない現実

格差社会の縮図

そんな格差問題などを生んだ民間試験の導入延期が11月1日に決定されました。試験用の仮IDの発行というタイミングは寸でのところ、といったタイミングでしょう。

しかし試験の受験予約は既に終了しており、何人もの受験生が予約料金を支払い対策問題集を購入した後ですので、受験生にとっては散々振り回された挙句、と言ったところだと思います。

受験生ファーストの試験の実現とは

この入試改革問題は何も英語だけに限られた話ではなく、国語や数学でも問題は山積みです。

国語や数学では記述式が追加されますが、微妙なニュアンスの違いなどは読む人で解釈が分かれるでしょう。その対策として考え出されたのが厳密化した採点基準ですが、この基準をもとに考えたならば、それは本当に表現力を試す試験と言えるのでしょうか

極端な話なのですが、誉めるような言葉で皮肉を言うような意見は、表面だけなぞる「厳格な基準」の前ではただの”誉め言葉”となってしまうでしょう。

そのうえ放置されている問題の一つに採点がアルバイトの手によるという問題もあります。「正確性の重視される入試」の採点がアルバイトの手によるなら、もし誤りがあった場合は一体だれが責任を負うというのでしょうか。大学生がメイン労働力である採点の責任を、一介の学生に背負わせるというのでしょうか。

山積みの問題点と営利追求の受験

根本的な話になりますが、あくまでTOEFLなどは「資格試験」ですから、学校で学ぶ英語と問題内容がリンクするはずはなく、授業よりはるかにレベルの高い内容となるのは当然でしょう。

そして入試利用のできる民間資格試験に選択肢がある点からしておかしいのです。内容も試験方式も異なるのに、どうして大学入試などという場で使えると思うのでしょうか。もし民間試験を利用するとして、せめて利用するのは2試験まででないと公平性に欠くと言えるでしょう。

公平性に欠く、という点からは他にも多くの問題が浮かびます。共通テストの試験問題作成と、英語民間試験の選択肢の一つ、そして教授まで同じ会社が手掛けている点です。

試験問題を作成する企業が試験対策のテキスト等を作る事の恐ろしさは想像もできないでしょう。まさしく独占だと言えます。そのような事がまかり通るのですから、大学入試の改革ごときで日本人の語学力が向上すると考えて実施するのも道理だと言えるのではないでしょう。

本当に英語力の向上、スピーキング能力を高めることを目的とするのなら、高校入試の段階で組み込まなくては意味がありません。実社会で使う英語のほとんどは、義務教育の中で習うようなモノです。高校以降で学習するような英語は、果たして”実用的”だと諸手をあげて言えるのでしょうか。

大学入試改革のその前に

そもそも教育の均等化云々を言うとして、きっと問題にすべきは大学受験料、学費の高額さではないでしょうか。国公立大学の入学検定料は一定ですが、私立大学ではかなりの格差があります。国公立と私立の検定料も驚くほど違います。

学校に払うお金は検定料だけではありません。入学金、学費だってあります。ただでさえ高い学費を払うことが確定しているのに、いくつもの大学を受験するだけの金銭的ゆとりは一般家庭にあるはずもないです。

そのバランスをどうにか保たせていたセンター試験が廃止されるとなれば、この国の行く末は不安としか言いようがなく、はっきり言うなら「選民思想」のはじまりに近いものを感じます。

まとめ

誰かの金儲けのために、多くの将来ある学生たちの未来が損なわれているとも思える今回の入試改革。

そもそも誰も触れませんが、何故入試は英語に限られるのでしょうか。入試の科目名は「外国語」なのですから、英語以外の言語でも受験できるのに、その点については一切の話題がありませんでした。他言語での受験を考えていた生徒は、英語で受験せよという強要をされていたとも言えるでしょう。

文部科学大臣の発言で色々波乱があり、結果として延期という運びになりましたが、正直なところ「身の丈」云々は大学入試の現状を体現した言葉だと思います。

しかしこれを非情だのと騒ぎ立てる以前に、身の丈という言葉は裏を返せば”そう”だと把握してるということで、つまり現状を肯定しているということに気づかなくてはいけないでしょう。

格差のない受験の実現は現状から考えてはっきり言えば不可能です。「予備校通っててずるいみたいなもの」という言葉だってありましたが、地方の学生は「予備校通ってるから」などという理由すらありません。予備校なんて都市部にしかないのですから。

そんな状況から、いったい誰がどうやって「公平な受験」にまで持っていけるというのでしょうか?少なくとも現在の日本において、そこまでの能力を持ったカリスマは、知恵者は存在していないのですから。

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